もっと効果的に本を音声で聴く。
前回の記事の本を音声で読んでもらう方法。の続きです。
今回は、本を音声で読んでもらうときに、本の情報を理解して利用するために効果的な方法を考えたいと思います。
突然ですが質問です。
本を音声で読んでもらうとして、その間に何しますか?
本を音声で読んでもらっているときを思い浮かべてみてください。
聞いてもらっているのを、単に集中して聞きくだけですか?
やっぱり何かしますよね?
このときに、効果的に何をするかについて考えたいと思います。
結論から言うと、
「“特に集中しなくてもできる作業” を並行して行うと、本の内容に集中して聞くことができる。」
です。
ここでは、ノーベル経済学賞受賞の心理学者ダニエル・カーネマンのファスト&スローの考え方を参考にしようと思います。ちなみに、ダニエル・カーネマンは、プロスペクト理論を提唱した心理学者です。
まず、参考となる人間の思考方法の2つのモード、システム1、システム2について以下に特徴を並べます。
*この2つのモードの名称を最初に提案したのは、心理学者のキース・スタノビッチとリチャード・ウェストであるとダニエル・カーネマンは述べています。
- システム1
・速い思考
・自動的
・コントロールに努力は不要
・アイデアやパターンは驚くほど複雑
・衝動的で直感的
- システム2
・遅い思考
・頭を使わなければできない知的活動に注意を割り当てる
・代理、選択、集中などの主観的経験と関連付けられる
・システム1の自由な衝動や連想を支配したり退けたりできる
・思考や行動のコントロールが仕事
・消耗すると不快になる
・怠け者
私が、走りながら本を聞くとき、実際にはシステム1で走る動作を行い、システム2で聞いていると考えられます。
この走る速度を、システム1では賄いきれない意思の力が必要なペースで走ってしまうと、システム2も動員され、ほとんど本に集中できなくなります。
これらは、以下の引用が参考になります。
歩きながら考えるのは、ふつうはたやすいし、とても楽しいものだ。だが度がすぎると、二つの活動はシステム2の限られたリソースを争うようになる。p75
私たちの大半は、ほとんどの時間、一貫した一つながりの思考を維持するにも、たまさかの複雑な思考に取り組むにも、セルフコントロールを必要とする。p76
時間的な制約がないときでさえ、思考の流れを維持するには自制心を必要とする。p76
フローは、二種類の努力をすっぱり切り離す。一つはタスクへの集中、もう一つは注意力の意識的なコントロールである。p77
フロー状態になってしまえば、この活動に完全にのめり込むので、注意力の集中を維持するのに何らセルフコントロールを必要としない。したがって、この仕事から解放されたリソースを目の前のタスクにだけ振り向けることができる。p77
安全で、かつ信号がなく走ることを中断されることのないコースで、体力的に苦にならない速度でリラックスしながら本を聞くと、システム1は走ることの自動運転を始めて、システム2はある意味システム1の制御から解放されます。
こうなると、耳から聞こえてくる話に集中していきます。
このため、何かをしながら本を読んでもらうことは、本の情報を活用する視点でとても効果的ではないかと考えられます。
この応用として、洗濯や食器洗いなどの家事をしながら本を聴いたり、防水イヤホンや吸盤式防水スピーカーを使用してお風呂で聴いたりする、“ながら”読書(聴書?)はよいかもしれません。
本の情報の活用として、知識の補充以外にも、引用などに利用するときは、いま聞いている本であればその場でメモを入力すればいいですし、関連付けたい何かの本も一緒に思い浮かべば、それもメモしておくことで後で使える自分専用のデータベースになります。(水場は注意ですが。)
次回は、この自分専用のデータベース作りについて書きたいと思います。
本を読むシリーズ
走るし、本を読むようになった。
本を音声で読んでもらう方法。
もっと効果的に本を音声で聴く。
本を読んだら自分専用のデータベースを作る。-1
本を読んだら自分専用のデータベースを作る。-2
スギヤマです。
主にガジェットいじりに関わる記事を投稿します。
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